エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 その日の朝、インターホンの音にすぐにドアを開けると、甥っ子の連が飛び込んできた。

「神也―!」

 5歳になった連の笑顔が幼い頃の香澄に似ていると思って破願していると、つづいて当の本人である香澄とその夫の昴、連の3つ下の妹の香菜が入ってきた。

「こら、連。兄さんを呼び捨てにしないで」
「いいよ。連も香菜も大きくなったなぁ」

 俺が香菜を抱き上げると、連が少し羨ましそうな顔をする。
 思わず連も抱き上げた。

 すると、リビングから妻の小春がやって来る。

「昴先生、香澄さん、連くんと香菜ちゃんもいらっしゃい!」
「小春先生……じゃなかった、小春さん。すみません、お邪魔します」
「いえいえ、待ってましたよ!」

 今年俺が結婚した小春は、香澄が勤務していたときの病棟保育士の後輩だ。

 香澄が連を産んだころに彼女から告白され、それから長く付き合っていた。
 結婚するタイミングがつかめなかった俺にプロポーズまでしてくれた。

 小春は10歳も年下なのに、ふがいない……。

 
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