エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
小春は困ったように笑いながら言う。
「結婚して家庭に入ったのはいいんですけど、仕事辞めて子どもロスなんです……! だから連くんと香菜ちゃんに会えてうれしい!」
「香澄、ありがとう。子どもが近くにいないと禁断症状が出るって言いだして、香澄に連絡した」
俺が加えると、香澄はうんうんと頷く。
「その気持ち、ちょっとわかるなぁ。職場であれだけ子どもと接してるともう一生分子どもと関わったって思うのに、やめちゃった途端、寂しくなって……子どもを見かけるだけでニヤニヤしちゃったりしてね」
香澄が言うと小春も頷く。
香澄も結婚して仕事を辞めた。
好きな仕事だったし、その決断は香澄にとって大きかっただろう。
小春もきっとそうだったんだろうな、と思う。