エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
4章『4年前』

 4年前、私と兄は一之宮総合病院の持つ職員用マンションに住んでいた。
 私が高校生のころに父が海外に単身赴任となって母もついていき、最初は二人でそのまま戸建てに住んでいたのだけど、セキュリティが心配だと兄が言い出したのだ。

 そのころ兄はもう一之宮総合病院の研修医だったので、昴さんの父でもある病院長に相談すると、特例で私が就職するまでは家族用の広い部屋に住んでいいとなった。

 そしてその後、私の就職先が決まったのだけど、なんと同じ一之宮総合病院。

 本当なら単身用2つに分かれて暮らすべきところを、次の人が来るまでは、と家族用に二人で住ませてもらっている。

(本当は一人暮らしにも憧れてたんだけどね……)

 そうはいっても、今はなかなか二人が揃うことはないから、一人暮らしとあまり変わらない。
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