エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 昴さんが必要以上に構ってくるので、昴さんのことが好きな人たちからするとおもしろくないのはたしかだ。
 でも、私がいる小児科の中での昴さんはなんていうかアイドルみたいな存在で、からかわれはするけど、いじめみたいなことはない。

 どちらかというと、小児科と関りの多い兄の方が、紹介してくれと迫られることが多い……。

「兄さんのおかげで大丈夫よ。みんな優しい」
「俺?」
「まぁ、そもそも昴さんには昔から巻き込まれてるし、もう慣れっこよ」

 私が笑うと、兄は心配そうに眉を寄せた。
 その顔を見て、最近気付いた小さな一つ問題は話さないことにした。

 兄は結構心配性だ。
 両親がいない中で、私に何かあったらいけないと思ってくれているのだろう。

 だから私もそれを感じて、できるだけ兄に心配をかけないようにはしているつもりだ。
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