エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 それから昴さんが連れて行ってくれたのは、病院の裏にある小さな割烹。

「あら、一之宮先生。いらっしゃい。久しぶりね」

 店の戸を開けてすぐ、女将さんが声をかけてくれる。
 昴さんは流れるように私をカウンターに案内して座らせてくれた。

「よく来るんですか?」
「近いしな。隠れ家みたいなもの」
「隠れ家、ですか」

 私がきょろきょろしながら聞くと昴さんは頷く。
 そんな隠れ家に昴さんが連れてきてくれたことが嬉しかった。
< 35 / 219 >

この作品をシェア

pagetop