エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
どうにか助けになりたいけど、医師でも看護師でもない私にできることは限られてる。
(それなら、彼が必要だと手を伸ばしてくれた時、彼の安心できる場所に少しでもなれるようにしよう)
くるりと隣に座る昴さんの方を向いて、できるだけ明るくニヤリと笑った。そしてお品書きを指差す。
「私で良ければ、いくらでもお付き合いします。あ、これとこれも食べたいんですけど」
「いいぞ。それにしても相変わらずよく食う」
「悪かったですね。連れてきたのは昴さんだからきっちり責任取ってもらいますよ」
「あぁ」
昴さんが明るい顔になって、明るい声で笑い、私はホッとした。
それから昴さんにも食事をすすめ、彼もやっとお箸を動かし出した。
呼び出しも気になったのでハイペースで食べ、お腹いっぱいになったころに、昴さんのスマホが鳴る。
やっぱり連絡は病院からで、私たちは一時間もたたず、すぐ店を出た。