エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「ごちそうさまでした」
店を出て、ぺこりと頭を下げて顔を上げると、真剣な顔の昴さんと目が合う。
ドクンッと心臓が脈打って何故か固まってしまった。
するり、と熱い手で頬を撫でられるだけで、
身体の中で心臓が苦しいくらいに暴れ出す。
「す、昴さん……?」
昴さんは黙ったままだった。
ドギマギしていると、すっと、端正な顔が近づいてくる。
次の瞬間、その顔が目の前で見え、唇が重なっていた。
「ぅんっ……⁉︎」
驚いて目を見開くと、触れるだけのキスはすぐ離れる。
「ありがとう」
昴さんはそれだけ言うと、そのまま走って病院に戻って行ってしまった。