エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

「ほんとに何考えてるのよ、昴さんは!」
「俺?」

 叫んだらすぐ横から声が聞こえて、ベッドの上で飛び跳ねそうになる。
 恐る恐る顔を上げると、昴さんはベッド脇にあるソファに座ってこちらを見ていた。

「い、いたんですか……」
「一人百面相だなと思って面白くて見てた」

 昴さんはくすくす笑う。

(最初に頭を抱えているところから見られていたの?)

 恥ずかしくて視線を逸らす。

「そんなの見てないでくださいよ……。それに、先に起きてたなら起こしてくれたっていいじゃないですか」
「俺は我慢が効かない気がしてあっちで起きてただけだしな」
「我慢って……?」
「いいや」

 私が首をかしげても、誤魔化すように髪を撫でられた。
 昴さんは目を合わせて困ったように微笑む。

 その瞬間、痛いほど鼓動が速くなる。

(だめ。昨日のキス、思い出しちゃった……)

 昨日、数えきれないくらいキスをした。
 離れづらくなると分かっていても、やめられなかった。

 やめたくなかった……。
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