エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
優太先生はもう一度息を吸うと、緊張した面持ちで私の目を見る。
「落ち着いたらでいいから、二人で話したいことがあるんだ」
「今、話してるじゃないですか?」
「うん、そうなんだけど、そうじゃなくて……」
(どうしたんだろう?)
覗き込むように顔を見つめると、優太先生は私を見つめる。
「あ、あのね。僕も、ここを辞めることにしたんだ」
「え……?」
「あ、辞めると言っても、病院長に勧められて。今度大阪に大きな子ども医療センターができるんだ。そこのスタッフとしていくことになると思う」
「へぇ……! 子どものための医療施設が新設されるんですね。それは素敵です」
私が言うと、急に手を強く握られる。
「香澄ちゃん、キミの気持ちは分かってるつもりだ。でも僕だってーー」