エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 その言葉を最後まで聞くより先、突然病室の扉が開いて、白衣姿の昴さんが入ってきた。
 掴んでいた手を優太先生が勢いよく離す。

「あ、す、昴先生お疲れ様です。診察でしたか?」
「あぁ」

 昴さんは頷く。
 優太先生は慌てたように立ち上がった。

「ごめんね、長居して。また来るよ」
「あ、はい」
「じゃ、失礼します」

 優太先生が病室から出ていくと、昴さんはそれを目で見送った後、ベッドの横の椅子に座る。

「邪魔した?」
「いえ、優太先生とは入院してる間はいつでも話せるし」
「そう」

 昴さんが黙り込み、息を吸って私を見つめた。
 私はなんだか緊張してしまって、それでもなんとか口を開く。

「え、と……? 診察は……」

「香澄、結婚してくれないか。一年だけでいいんだ」
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