エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

「……え? あ、あれ、診察は?」

「診察で来たんじゃないから。あれは嘘。それより香澄、さっきの俺の言葉聞こえてた?」
「はい。結婚って聞こえたような……」

 聞き間違いだと思っていた。
 三年前のキスから、私たちは時々食事に行くことはあっても、なにもない。これは間違いない。

 病院が忙しくなってきたのも、昴さんが忙しくなってきていたのもあったのだろうけど……。

 でもやっぱり基本的にはあれはからかわれただけのようなもので、
 あのキスは夢だったのではないかと私だって思い始めていた。

(なのになんで突然結婚……? しかも一年だけってどういうこと?)

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