エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「香澄は単純だからな。打算的に物事を見ていない。つまり、扱いやすい」
「最後の方は悪口ですね」
「香澄のことは信頼してるってことだ。そもそもこんな失礼な話、香澄にしかできないだろ。普通の女性なら怒り出してもおかしくない話だ」
「普通の女性ではなくてわるかったですね」
「褒めてる」
それは褒めてはないだろうと思いながらも、怒りだせるわけはなかった。
彼のめちゃくちゃな提案に、私は今、結構浮かれている。
「なんで一年間結婚したいかだけお聞きしても?」
「……結婚相手を見つけてくることが、父がだした俺を副病院長にするための条件なんだ。それにはもう一つ条件があって、すぐに離婚するようなことは許さないと。なら、一年も結婚していれば十分だろう」
「お父様、どうして結婚なんて条件を?」
「あの人なりに俺を心配してくれているらしいが、余計なお世話だろ。しかし考えてみれば、結婚するだけでいいのなら話は簡単だ。契約結婚でいいんだから」
きっぱりと言い放たれたその言葉に、返す言葉はただ一つ。
「私でいいなら、よろしくお願いします」