エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 ぺこりと頭を下げて、顔を上げると、彼と目が合った。
 口元を隠し、眉を寄せている。

「それは、どういう反応なんですか……?」
「本当にそんなに簡単に決めてしまっていいのか? これまでよく変な壺とか絵とか買わされずに生きてこられたな……」
「昴さんが言い出したんでしょう!」

 自分から言い出したくせにこちらがオッケーしたら信じられないという表情をした昴さんを見ていると、なんだか無性に恥ずかしくなって思わず怒る。
 すると、昴さんはハハと楽しそうに笑った。

(もう、なにそれ……)

 その笑顔に胸がぎゅっと掴まれる。

(私だってね、相手が昴さんじゃなきゃこんな提案受けてないわよ……)

 私が打算的に物事を見てないなんて嘘だ。
 私はすごく打算したんだ。

 自分が立ち上がれるまでどんな形でもいいから昴さんのそばにいたくて……打算した。

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