エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
今日はシャンパンも控えたので酔うことはなかった。
部屋に戻るとなんとなく居場所が見つからなくて部屋の片隅に佇む。昴さんはソファに腰掛けその横を優しく叩いた。
その仕草にドキリとしたけど、引き寄せられるように少し間を置いて横に座る。
そんな私の髪をフワリと撫で、思い出したように昴さんが言った。
「昔から香澄って、おいしいおいしいって幸せそうにめちゃくちゃ食べてたよな」
「そんな恥ずかしいことはもう忘れてください」
「神也も、おいしそうに食べるからたくさん食べさせたくなるって言ってた」
なにそれ。二人とも私を何だと思ってるの?
野良猫的な? 動物園の動物的な……?
噛みつくような視線を向けると、包み込むような視線を返される。
「俺も同じだった」
「餌付けしてたってことですか?」
返すと困ったように笑われて、髪を優しく撫でられる。
「それで他のこと考えられないくらい、好きになってくれればよかったんだけどな……」