エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「な、何言って……」
「信じられない?」
「はい」
「即答するなよ。……まぁ、そう思われるのには無理もないな。家にだってろくに戻れなかったし」
そうだ、本当に好きなら……もっと……。
分からないけど、もっと何かあったんじゃないのだろうか。
「それでも、少しの時間でも、香澄と過ごせて俺は良かった。一緒にいて、安心できるのも、心地いいのも香澄だけだ。それにはっきり気づけた」
その告白に心が揺れ動かされるのは、それを言ったのが他でもない、昴さんだから。
そして私だってそう思っていたから。
唇を噛んで視線を逸らす。
「そ、そんなこと言われても困ります……」
「困ればいい。困って、俺のこともっと真剣に考えろ」
「なにそれ」
好きって言ったくせに困らせてどうするのよ……。
思わず昴さんを見つめると、昴さんは目を細めた。
「返事は日本に戻ってからでいいから」
「いえ……今返事します」
でも、私はきっぱりと言う。