エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
2章『6年前』
――六年前。
都内の一等地にある帝都パラシオットホテルの最上階。
そこにあるフレンチレストランに今より六歳若い二十八歳の彼と、二十歳になったばかりの私がいた。
窓から見えるのは、東京を一望できる煌びやかな夜景だ。
初めてのお酒が、まさか、こんな夜景の見える場所でのシャンパンだなんて想像もしていなかった。
「……なんでこんなすごいとこ」
「祝えと言ったのは香澄だろ。だから、お祝い」
夜景だけでなく、目の前にいる人にドキドキと心臓の音が止まらない。
『私、二十歳になるんですよ。誕生日はお祝いしてくださいよ』
それは軽い気持ちで昴さんに言った言葉だった。
まさか、こんなところに連れてこられるとは想定外だ。