エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

「ふっ、んっ……」

 少しシャンパンの香りがして、やっぱりすごく甘い……。
 その甘みに目を細めると、昴さんは一瞬唇を離してもう一度重ねる。今度は深く。

 その味をずっとかみしめていたくて、這わされた舌に自分の舌を絡めていた。
 昴さんの手が背中に回ると、ワンピースの背中のファスナーが下ろされる感触がしてハッとする。
 思わず両手で彼の胸を押して、顔を背けた。

「ま、待って。だめです。それは……」
「香澄が煽ったんだ」

「これ、“離婚旅行”ですよ?」

 昴さんは真剣な目で私を捉えると、頬を撫でた。

「香澄は、嫌か?」

 嫌ではない。
 なんて、私から言えるはずがない。

 怯んだ私に気づいて追い打ちをかけるように彼は言う。

「返事がないなら、一生、俺を忘れられないようにするからな」

 耳元で囁かれ、もう一度強く抱きしめられた。
 私は返事の代わりに、そっと彼の背中に腕を回していた。

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