エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 ベッドに優しく横たえられると、心臓の音が苦しくなるほど頭まで鳴り響く。
 それなのに、昴さんは余計にドキドキさせるように私の頬に触れる。

「香澄、そう固くなるな」
「だって……す、昴さん、こういうことするなんて考えてなくて」

(そうなるなら、とっくになっていたはずだ)

 これまで何度もチャンスはあった。
 でもそうすることはなかった。

 だからよっぽど私に魅力がないか、よっぽど昴さんに性欲がないのかなと思ってた。

 昴さんは小さく息を吐き、右手で自分の髪をかきあげる。

「俺がどれだけ耐えたと思ってるんだ? 人の気も知らないで……」
「へ……?」

(ど、どういう意味……?)
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