エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
ずっと昔から一緒にいてくれた彼女が好きだとはっきり自覚したのは、先月だった。
彼女が事故に遭って、それから病院を辞めると決断したとき。
いつもくるくると明るい表情の彼女が……いつだって顔を合わせると笑っていた彼女が、自分の前からいなくなるのではないかと思って、“契約結婚”なんてめちゃくちゃな提案をしていた。
父から結婚を勧められていたことを思い出し、気付いたら彼女を繋ぎとめるために、そんなことを言っていたのだ。
どうしても、どんな形でも、彼女と一緒にいたいと思っていた。
だから、仕事を辞めると決断してしまった彼女が、これから少しでもゆっくり治療にあたれるように住む家や報酬についても提案した。
そんな無茶な提案にさえも、彼女は少し顔を赤くして『よろしくお願いします』と返事をしてくれた。
そのとき、唐突にやっぱり自分は彼女が好きなんだと分かって……。
『必ず一年後には離婚しましょう。何があっても、必ず』と決意するように言った彼女のそばにずっといるために、どうすればいいのか本気で考えだすことになったんだ。