エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
朝からいいものを見られたな、と思いながら勤務していると、後ろから声をかけられた。
振り向くと白衣姿の神也がいる。
神也は香澄の兄で、俺の幼馴染だ。もう覚えていないくらい昔から一緒で、当たり前のように職場まで一緒。高校・大学と、唯一成績トップの座を争った仲だ。
予想外だったのは、神也が外科医になると思ったら、内科医になったこと。
昔、妹の香澄が高熱を出して入院したことがきっかけだったという。
研修医のころ、神也は言った。
『俺が内科で、お前が外科なら、香澄に何があっても対応できるじゃん』
『なんでお前のシスコンに付き合わなきゃならないんだ。それに俺は脳外だ』
『脳外でも外科全般行けるようになっておけよ』
年の離れた妹がかわいいのは分かるし、自分だって香澄のことは妹みたいに可愛がっていたが、神也のそれはあまりに過保護だろうと思っていた。
『頼んだからな、昴』
あれだけ過保護だシスコンだと思っていたが、今はその気持ちが分かり始めてる。