エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
黙ったままの俺に神也は言う。
「花畑、まだ諦めきれないみたいでな。だから、一年の契約結婚だってこともバラしておいた。そしたらがぜんやる気がわいてきたみたいだ」
「……何を勝手に」
「それはこっちのセリフだ」
神也は真剣な目で俺を捉える。
「お前、本気で香澄を思うなら、俺を納得させるくらいに香澄のことを大事にしろよ」
「言われなくてもそうするつもりだ」
俺はこれまでずっと病院が一番だった。
それはどうやっても変わらなかったはずだ。
それでも香澄のことだけは、不思議と病院の方が大事だとうまく割り切れなかったんだ。