エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
9章『離婚旅行 4日目①』昴side
正面をむいて抱きしめていたのに、一瞬の隙をついて、反対向きになってしまっていた。
きっと起きたんだろうな、と思って、後ろから強く抱きしめる。
「香澄、おはよう」
「……お、おはようございます」
振り向こうとしない彼女のうなじにキスをすると、彼女は身をよじる。
それでも振り向かないので、うなじから背中にキスを何度か落とし、昨日たくさんつけたキスマークをさらに増やすことにした。
「んんっ! も、もう、や、やめてくださ……」
「こちらを向くまでやめない」
待ち望んでやっと手に入れたこんな幸せな時間を一瞬も逃す気がない。
何度かキスをしていると、観念したように香澄はこちらを向いた。
ふりむいてすぐ、唇にキスをする。
何度もしていると、香澄もそれに応じてくれる。
そんなことがやけに嬉しくて、キスをして抱きしめて、それでも足りなくて抱きしめる腕に力を込めた。