エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「うう……」
香澄は恥ずかしいのか、それでも胸に顔をうずめて呻る。
「まだ甘い?」
「はい……」
「口移しで食べさせたら甘さを感じるかもな」
「えっ……。それは恥ずかしすぎて無理」
香澄がはっきり言って、思わず笑う。
それでもそうしてやろうと決めて微笑むと、嫌な予感がした、というように香澄が眉を寄せた。
この子は、俺が考えていることが分かりすぎることがある。
なら自分の気持ちの強さをもっと感じて、少しでも香澄の気持ちが、自分に動いてくれていないだろうか。
嫌いではない、いや、好きでいてくれてるとは分かっている。
でも、その好きは俺とは少し違う。まだ離れられるだけの好きだ。
彼女を好きになって、一緒に暮らして、いつのまにか自分だけが離れられないほど彼女のことを好きになりすぎていた。