エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
デザートの追加が運ばれてくると、ふと兄を思い出して、スマホを取り出す。
「兄さんに写真撮って自慢しちゃおうかな」
「だめだ」
そう言って、彼の手が私のスマホを持つ手を優しく押さえた。
「え……? あ、あの……」
手を握られたと思って、心底慌ててしまう。
それでも、その手を離されたくない、なんて不埒なことを思う。
「神也が心配するだろ? 可愛い妹が、男と二人きりでホテルにいるだなんて」
そう言われてドキンッと心臓が跳ねた。
このレストランがホテルの中にあることは分かってる。
でも、変に緊張しちゃうから、そこはあえて意識しないようにしていたのに……。
「お、男じゃなくて、相手は、す、昴さんですよ……」
かわいげのない言葉がでて、昴さんは眉を下げて苦笑する。
「ま、香澄にとったら、兄貴みたいなものか」
(そんな、少し悲しそうな笑顔されたら、誤解しちゃうのに……)