エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
11章『離婚旅行 4日目②』
『……帰ったら離婚届を出してきます』
離婚旅行で初めて肌を重ねた次の朝、私は言った。
彼は表情を固くして、それから低い声で問う。
『気持ちは変わらないか?』
『はい。昴さんだって、了承してくださったじゃないですか』
きっぱり言い放ったけど、気持ちはグラグラ揺れてしまっていた。
なんでこんなことしちゃったんだろうって後悔もしていた。
肌を重ねる前は、もしそうなってもいい思い出にして昴さんから離れられると思っていたのに。
『それでも俺は香澄を愛してる。だからもし離婚しても、もう一度結婚してもらえるまで諦めないから』
そんな告白までされ、もう思い出だけで割り切れなくなってしまったことに気づく。
唇を、ぎゅう、と噛んで、泣きそうになるのを堪えていた。