エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 どうにか離れないとと、ベッドから抜け出て昴さんとは反対を向いた。
 明日の夜の便で帰国することになっている。帰るまでにどうにか気分を変えたい。

 表情をできるだけ普通通りに戻して、くるりと昴さんの方を向いた。

「やですよ。せっかくのパリだし、もっと街を見て回りましょう?」
「やですって」

 昴さんが困ったように苦笑する。
 「お願い」と手を合わせて見つめると、「あぁ、分かった」と昴さんが折れてくれた。

< 94 / 219 >

この作品をシェア

pagetop