エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 その日は、少し足をのばしてモンマルトルの丘に建っているサクレクール寺院へ。
 寺院の入り口まではケーブルカーもあるけど、徒歩でも行けるらしい。

「せっかくだから歩きましょうよ」
「だめ、ケーブルカーに乗ろう」
「足はもう大丈夫ですよ?」

「そうじゃなくて、昨日の今日で疲れてるだろ? 夜は無理させたし」
「なっ……!」

(こんなとこで何を言うのよ!)

 日本人は少ないけど、聞かれていないかひやひやする。
 頬を手で覆って昴さんを睨むと、彼は意地悪な笑みを浮かべていた。
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