エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
それからもずっとこんな調子で、外に出たのは失敗したような気がした。
もしかして部屋にいた方がよかった? いや、やっぱりそれはそれでよくなかったよね……。
悶々としている私の顔を昴さんは覗き込む。
「どうした? 疲れたか?」
「いえ……」
首を横に振ると、少し休憩しようか、と彼は微笑んだ。
大きな通りまで出ると店がいくつか並んでいて、そのうちの一つに入って席につく。
「コーヒー?」
『café allongé』の文字を指さして昴さんは言う。
メニューをじっと見ていると、『un chocolat chaud』の文字が目に入った。
「これ、チョコレート、ですかね?」
「ショコラショーだな。ホットチョコレートだ」
「…………ホットチョコレート」
(甘いんだろうけど……)