エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 甘さを感じなくなってから、チョコレートは苦みだけを感じることが多かった。
 もともとチョコレートは好きだったんだけど、怪我したときから一番遠ざかっていたのがチョコレートかもしれない。

 私が悩んでいると、昴さんが言う。

「頼んでみていまいちっていうときは俺のと交換しよう」
「いいの?」
「もちろん」

 昴さんは微笑んで、注文してくれる。
 運ばれてくると、チョコレートのいい香りが漂ってきた。

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