内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
心強い言葉をかけてもらい感謝したが、かえって早く就職しなければという気持ちが強まった。

(お兄ちゃんにはお兄ちゃんの人生があるんだから、いつまでもお荷物になれないよ)

堅物な兄にも三年交際している恋人がいた。

果歩より五つ年上の職場の後輩で、兄とお似合いの真面目でしっかりした女性だ。

出産祝いをいただいたり、何度もこの家に来て双子と遊んでくれたりもした。

いずれは結婚するのだろうと思っていたのだが、先月破局したことを兄から聞かされ驚いた。

兄は原因を言わないが、自分と子供たちのせいだと果歩は思っている。

『私もいい年だから、そろそろ本気で結婚を考えているの。果歩ちゃんは就職が決まったら、実家を出るの?』

二か月ほど前に、兄の恋人にそう聞かれたからだ。

『そうしたいと思っています。でも、まだ子供が小さいので、もう少し手がかからなくなってからになりますけど……』

そのように返答したのがいけなかった。

兄は妹を追い出すようなことはしないだろうし、妹は自分から出ていく気はなさそうだと思い、待っていても結婚できないと判断した恋人は去っていったのではないだろうか。

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