内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない

「母が画策したに違いない。官僚令嬢との交際を勧められていて、それが理由だろうな。何度も断っているんだが、まだ諦めてくれない。この時に気づいて対処できず、本当にすまなかった。果歩にはつらい想いをさせてしまった」

果歩の目に涙があふれた。

産むと決意しても妊娠中は不安で、兄に頼るしかない未熟な自分が子供たちを本当に幸せにできるのだろうかと思い悩んだ。

もし卓也とふたりで育てることができたならと夢見てしまい、それが叶わないことに弱気になって涙した夜もあった。

卓也を忘れようとしてもお腹に彼の子供がいる以上、それは無理な話で、それならばいっそのこと憎んでしまおうとしたが、優しくされた日々を思い返せばどうしても嫌いになれなかった。

誕生した双子の顔を見てからは、二度と泣かないと心に決め、なるべく笑顔で育児に奮闘してきたけれど、それは強がりだったのかもしれない。

別れが卓也の意思でなかったと知ったら、喜びと安堵感が一気に押し寄せ、これまでの心細さやつらかった思い出と合わさって、果歩の胸を大きく震わせた。

止めようとしても涙が次から次へとあふれ出て、たまらず顔を両手で覆った。