内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
今まで妹が放っておかれたのを怒っているのだろうか。

妊娠も出産も知らなかったのだから、それは卓也の落ち度ではない。

なぜ反対するのかと驚いて涙はおさまり、兄の方に振り向いた。

腕組みをした兄は、怒っているというより疑問を感じているような難しい顔をしている。

「結婚は当人同士だけの問題ではない。さっきから聞いていれば、君は随分いいところの坊ちゃんのようだな。君の母親が他の女性を勧めているんだろ? 家族の反対を押し切って結婚して大丈夫なのか? 別れを仕組まれた時のように、果歩になにかしでかす恐れがあるなら、俺はお前たちの結婚を認めない」

妹の幸せを思うがゆえの反対に、果歩はなにも言えずにオロオロした。

これからはなにがあっても卓也を信じてついていきたいと思うけれど、兄が言うように、卓也の母親が自分たちの仲を裂こうとしてくるのは不安だ。

幼い子供たちがいるので、もっと慎重に結婚時期を考えた方がいいかもしれない。

「お兄さんに、俺の話をどのくらいしている?」

卓也に問われた果歩は、首を横に振った。

「ほとんど、なにも教えていません」

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