内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
一方、兄は肩書に気圧されるタイプではなく、フンと鼻を鳴らして名刺をテーブルに置くと、懸念を示す。
「つまり君は、父親に逆らえない立場にいるわけだ。結婚を強行すればクビだと脅されるんじゃないのか? どうやって回避するんだ。果歩と子供たちを捨てるのか?」
(卓也さんは私たちを捨てたりしないよ。でも……会社を辞めたいとは思っていないはず)
果歩は初めて出会った時の卓也を思い出していた。
森ノ屋書房のビジネス書の棚の前で真剣に悩んでいたのは、仕事に真正面からぶつかっていた証拠のように思えた。
跡継ぎだから日星製薬に勤めているのではなく、彼のやりたいことであるような気がした。
(私のせいで、卓也さんが失職するのは嫌……)
結婚に暗雲が立ち込めた気分で肩を落としたら、卓也に手を握られた。
大丈夫だと言いたげな頼もしい笑みを向けてくれた彼が、兄の問いに真顔で答える。
「官僚令嬢との交際を勧めてくるのは母だけで、結婚は当人の意志に任せるという考え方なのが父です。別れを仕組んだのは母の独断で、父は関与していないと思われます」
「つまり君は、父親に逆らえない立場にいるわけだ。結婚を強行すればクビだと脅されるんじゃないのか? どうやって回避するんだ。果歩と子供たちを捨てるのか?」
(卓也さんは私たちを捨てたりしないよ。でも……会社を辞めたいとは思っていないはず)
果歩は初めて出会った時の卓也を思い出していた。
森ノ屋書房のビジネス書の棚の前で真剣に悩んでいたのは、仕事に真正面からぶつかっていた証拠のように思えた。
跡継ぎだから日星製薬に勤めているのではなく、彼のやりたいことであるような気がした。
(私のせいで、卓也さんが失職するのは嫌……)
結婚に暗雲が立ち込めた気分で肩を落としたら、卓也に手を握られた。
大丈夫だと言いたげな頼もしい笑みを向けてくれた彼が、兄の問いに真顔で答える。
「官僚令嬢との交際を勧めてくるのは母だけで、結婚は当人の意志に任せるという考え方なのが父です。別れを仕組んだのは母の独断で、父は関与していないと思われます」