内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「君の父親なら、妻の意見を無視して果歩との結婚に賛成してくれるというのか? 随分と希望的観測だな」

「もっともなご意見ですが、父を頼りにするつもりはありませんのでご心配なく。対応策も考えています。その決行まで数日、お待ちください」

卓也がニッと挑戦的に口の端を上げ、兄が怪訝そうに眉を寄せた。

(自信がありそうな顔。対応策って、なに?)

期待の目を卓也に向けたら、果歩の着ているリクルートスーツのポケットが震えだした。

子供たちのお迎え時間を忘れないよう、セットしておいたスマホのアラームだ。

取り出してアラームを止め、卓也に言う。

「子供たちを保育園に迎えにいく時間なんです。卓也さんは、ええと……」

待っていてほしいとお願いしようとしたが、兄とふたりきりの気まずい時間を過ごさせるのをためらった。

すると卓也が腰を上げる。

「俺も一緒に行こう」

兄との留守番が嫌なのではなく、ワクワクした顔をしているので子供たちに早く会いたいのだろう。

その気持ちは嬉しいが、果歩は困って眉尻を下げた。

「ここ最近、人見知りが激しいんです。男の人が特に苦手で……」

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