内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
一緒に暮らしている兄には懐いているが、何度か会っている隣家の優しいおじさんにも人見知りする。

先月は頭を撫でられるくらいなら平気だったのに、先週会ったら声をかけられただけで泣いてしまったのだ。

そういう月齢だから仕方ないのだが、外出時の困りごとでもある。

「泣くと思うんです。卓也さんは、泣かれても大丈夫ですか……?」

子供たちに拒否された気分になるのではと心配し、前もって聞いてみた。

「そうか。覚悟しておく」

卓也に行かないという選択肢はないようで、申し訳なさそうに立ち上がった果歩の頭にポンと手を置いた。

「心配しないで。焦って距離を詰めようとは思っていない。子供たちが怖がらずに受け入れてくれるまで、時間をかけるつもりだよ」

「ありがとうございます」

卓也のこういった気遣いができるところも好きだったと思い出した。

果歩の気持ちをいつも気にかけてくれる優しい人で、しかし時には強引に果歩の知らない大人の世界も見せてくれた。

かつてのときめきが蘇り、果歩は鼓動を高まらせる。

頬を染める果歩の手を卓也がさりげなく取り、自分の腕にからませた。

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