内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「五月生まれなので春をイメージした名前にしようと思ったんです。名付け本の中から響きや画数で選びました」

「素敵な名前をありがとう。出産はどこの病院で? 何グラムで生まれたんだ?」

卓也からの質問に答えていると、前方に三角屋根の二階建ての建物が見えてきた。

今日は曇り空で肌寒い気候だが、すべり台と砂場がある小さな園庭では幼児クラスの子供たちが元気に遊んでいた。

「新と芽依、あの中にいる?」

「あの子たちは三、四歳児ですよ。うちの双子はまだ赤ちゃんです」

「そうだった。まだハイハイだよな。早く会いたい」

待ちきれない様子の卓也を微笑ましく思いながら自動ドアをくぐり、預ける時に置いていった双子用のベビーカーを広げてインターホンを鳴らす。

名乗ると内扉が開錠され、玄関内で待っていたらすぐに猫柄のエプロンを着た女の先生が出てきた。

一時預かりでいつも双子の対応をしてくれる四十代のベテラン保育士だ。

肩に着替えやオムツなどを入れた大きなバッグをかけ、慣れた様子で両腕に双子も抱っこしている。

「新くんと芽依ちゃんのお母さん、お待たせしました。あら、そちらの方は?」

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