内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
宮島は人目を引く美人なので、男性社員たちからちやほやされることに慣れていて、自分の魅力を過信していたのかもしれない。

しかし卓也は部下としてしか彼女を見ていなかったため恋愛対象外だとはっきり伝え、もう少し真剣に仕事をするように指導した。

すると彼女を怒らせてしまった。

『思わせぶりな態度を取って乙女心をもてあそぶなんてひどいです。私は部長のために彼氏と別れたんですよ』

恋人と天秤にかけて卓也を選んだと勝手なことを言う彼女に呆れた。

業務上の過失ではないのでその発言に関して注意はしなかったが、女性をその気にさせないよう気をつけようと思った一件だった。

部署移動してからの繋がりはまったくなく、卓也への想いはすっかり冷めているだろうと警戒しなかったけれど、彼女の視線が卓也の左手に向けられているのに気づいた。

そこに指輪がないのを確認した彼女が、卓也に半歩近づく。

「今夜、ご予定はありますか？　実は私、前々から海外事業部に異動したいと思っていまして、ニューヨークのお話を聞かせていただけませんか？」

それはきっと嘘だろう。

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