内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない

『なにってあなた、日本にいるんですって？　どうして前もって連絡しないのよ』

今日の昼過ぎに社長室で父に会い、仕事の話をした。

きっと父が母に、卓也の帰国を知らせたのだろう。

（予想通りだったな。母さんは父さんをせっついていたようだし）

卓也を早く日本に呼び戻すよう、母は父にたびたび意見していたそうだ。

なぜなら椿姫との交際を始めさせたいからで、結婚は当人の意志に任せるというスタンスの父も、厚生労働省事務次官の娘と縁ができれば会社にとって強みだとは思っているだろう。

息子の帰国を妻に連絡したのがその証拠のように思われた。

（今日は父さんにだけ、果歩と子供たちの話をしようかとも思ったが、しなくてよかった）

母に伝われば、また陰で果歩に接触するかもしれない。

今まで果歩につらい想いをさせた分、今後は少しも傷つけたくないと卓也は思っている。

愛する人を守るため、両親への紹介は椿姫との交際の話が完全に立ち消えてからにしようと決めていた。

開口一番、怒り声で文句を言った母は、残念そうに続ける。