内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
『明日、戻るんですって? あと数日、日本にいられないの? 椿姫さんを食事に誘いたいのに、今夜というのは急すぎて失礼でしょう。もう少し考えてスケジュールを組みなさい。この間、六王寺事務次官の奥様からお電話がかかってきたのよ。椿姫さんに縁談の話が多数来ているらしいわ。椿姫さんが卓也を気に入っているから断ってくれているけど、油断していたら誰かに取られてしまうわよ』

(相変わらず俺の気持ちは無視か。果歩を騙して俺たちを別れさせたのも、少しも悪いと思っていないんだろうな。そっちがそういう態度なら、こちらも遠慮せずいかせてもらう)

卓也は腹立たしさを隠し、明るい口調で言う。

「心配いらない。椿姫さんには昨日連絡して、これから会う約束をしている」

デートではなく関わりを完全に断つための作戦を決行するつもりなのだが、そんなことは知らない母はやっと息子がその気になったと喜んだ。

『卓也もやっと現実を見られるようになったのね。よかったわ。それでどこのレストランを予約したの? 椿姫さんに失礼のないお店なのでしょうね。今までご無沙汰にしていたことをしっかりお詫びして、結婚に向けての話を――』

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