内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「俺は吉川卓也。この前のお礼にご馳走したい。相原さんの都合のいい日に合わせるから後で連絡して」
メモ用紙には携帯電話番号とメールアドレスが男性っぽいやや角ばった字で書かれていた。
急な誘いと、名前を記憶されていたことに果歩は目を丸くする。
「えっ、あの――」
「それじゃ、また」
卓也が足早に退店し、自動ドアが閉まってから果歩は支払い済みの文庫本がカウンター上に忘れられていることに気づいた。
左手にメモ用紙、右手に文庫本を持って慌てて店外に出るも、駅前通りのため夜でも通行人は多く、彼の姿を見つけられない。
(意外とうっかり屋さんなんだ。どうしよう、忘れていったこの本、近日中に取りに来てくれるかな。来なければ連絡して……あっ)
もしかすると、わざと忘れたのではないだろうか。
果歩から連絡させるために。
(食事のお誘いを私が無視すると考えたのかも。そんなこと、しないのに)
客から連絡先を渡されたのは初めてだが、仮に他の誰かに誘われたとしても簡単には応じないつもりだ。
もしそれがきっかけでトラブルになってしまえば、書店に迷惑をかけるかもしれない。
メモ用紙には携帯電話番号とメールアドレスが男性っぽいやや角ばった字で書かれていた。
急な誘いと、名前を記憶されていたことに果歩は目を丸くする。
「えっ、あの――」
「それじゃ、また」
卓也が足早に退店し、自動ドアが閉まってから果歩は支払い済みの文庫本がカウンター上に忘れられていることに気づいた。
左手にメモ用紙、右手に文庫本を持って慌てて店外に出るも、駅前通りのため夜でも通行人は多く、彼の姿を見つけられない。
(意外とうっかり屋さんなんだ。どうしよう、忘れていったこの本、近日中に取りに来てくれるかな。来なければ連絡して……あっ)
もしかすると、わざと忘れたのではないだろうか。
果歩から連絡させるために。
(食事のお誘いを私が無視すると考えたのかも。そんなこと、しないのに)
客から連絡先を渡されたのは初めてだが、仮に他の誰かに誘われたとしても簡単には応じないつもりだ。
もしそれがきっかけでトラブルになってしまえば、書店に迷惑をかけるかもしれない。