内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない

卓也と付き合いだしてからは大人っぽくなろうと初めてピンヒールのパンプスを買い、転んで膝を擦りむいたこともあった。

打ち明ければますます自信がなくなって、思わず目を逸らす。

すると、「おいで」と優しい声をかけられた。

肩に腕を回され、引き寄せられて心臓が波打つ。

「果歩は最高の恋人だ。二重の丸い目もチョンとした鼻も、柔らかい唇も可愛い。俺の腕にすっぽりと収まるこの体も愛しい」

褒めながら頬や唇、肩や腕に指先を滑らせるから、果歩は「んっ」と色のある声を漏らした。

嬉しい言葉をもらい、ぎゅっと抱きしめられて不安が小さくなっていく。

(私の見た目は、卓也さん好みということ?)

「なにより心が魅力的だ。書店にいる時の果歩は生き生きと輝いて、俺は果歩から仕事の楽しみ方を教わったんだ。俺も情熱を持って仕事がしたい。口では簡単に言えるが、そうなるのはたやすいことじゃない。俺は果歩を尊敬しているよ」

(尊敬……今まで誰にも言われたことがない。すごく嬉しい!)

釣り合わないという不安が完全に消えて、卓也の体に腕を回して抱きつけば、強い力で抱きしめ返してくれた。

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