内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない

彼女を含め、書店の従業員たちと今は和気あいあいと仕事をしている果歩だが、勤め始めの頃は明らかに浮いていた。

店内をポップだらけにする果歩の本への愛情と熱意が、皆を戸惑わせてしまったのだ。

避けられているのを雰囲気で察した時はかなり落ち込んだけれど、三か月を過ぎた頃から少しずつ会話が増え、休憩時間には雑談にも応じてくれるようになった。

その理由としては、果歩がそういう性格だと皆が理解し慣れてくれたことと、店長に叱られても楽しそうに仕事ができる果歩への感心もあるだろう。

以前、遥にこんな問いかけをされたことがある。

『果歩ちゃん、昨日は店長にこってり絞られてたよね。それなのにどうしてそんなに元気なの？　嫌味じゃなくて、そのメンタルの強さが羨ましいの。ぜひ教えて』

『強くはないですよ。ただ本に囲まれていると勝手に心が弾むだけなんです。あ、昨日のことはしっかり反省してます。売れ残って返品される本が可哀想だからって、来店客全員にお勧めしたら迷惑ですよね。『ご一緒にポテトはいかがですか？じゃないんだぞ』って店長に言われて気づきました。今後、押し売りはしないと肝に銘じます』