内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
五年前、果歩が大学生の時に他界した母は料理好きで、作り置き総菜が冷蔵庫にあふれるほど入っていたため、母が残業の時でも果歩の出番はなかった。
母が体調を崩してからは十歳上の兄が率先して料理してくれたので、自動的に果歩の担当は食器洗いになり、やはり包丁を握る機会はなかった。
三十四歳で独身の兄は市役所に勤めている。
真面目でしっかり者で母亡き後の果歩の生活を支えてくれた兄には深く感謝しているが、口うるさいのが難点だ。
心配してくれているのだとわかっていても、自由にさせてと反発したことは多々ある。
二年前に兄と暮らしていた実家を出て、森ノ屋書房の最寄り駅沿線にある安アパートでひとり暮らしを始めたのも、反発心と自立心が理由だった。
スマホで流行りのポップミュージックを流し、もぐもぐとお弁当を食べていたら、ガリッと嫌な食感がした。
(卵の殻だ。まともに卵も割れないんじゃ、卓也さんに呆れられてしまう。練習しよう)
彼が果歩のアパートに泊ったことは三回ある。
嘘をつけず料理が苦手だと打ち明けたら、『俺も同じ。下手同士、一緒にやろう』と言ってくれて、鍋料理やパスタを作った。
母が体調を崩してからは十歳上の兄が率先して料理してくれたので、自動的に果歩の担当は食器洗いになり、やはり包丁を握る機会はなかった。
三十四歳で独身の兄は市役所に勤めている。
真面目でしっかり者で母亡き後の果歩の生活を支えてくれた兄には深く感謝しているが、口うるさいのが難点だ。
心配してくれているのだとわかっていても、自由にさせてと反発したことは多々ある。
二年前に兄と暮らしていた実家を出て、森ノ屋書房の最寄り駅沿線にある安アパートでひとり暮らしを始めたのも、反発心と自立心が理由だった。
スマホで流行りのポップミュージックを流し、もぐもぐとお弁当を食べていたら、ガリッと嫌な食感がした。
(卵の殻だ。まともに卵も割れないんじゃ、卓也さんに呆れられてしまう。練習しよう)
彼が果歩のアパートに泊ったことは三回ある。
嘘をつけず料理が苦手だと打ち明けたら、『俺も同じ。下手同士、一緒にやろう』と言ってくれて、鍋料理やパスタを作った。