内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
けれども逆に兄の心配を膨らませてしまった。

卓也についてあれこれと質問され、果歩がそれに答えられないと眉を寄せられ、こう言われた。

『お前はまだ世間知らずの未熟者だ。まともな相手なのか、騙されていないか、俺が見定めてやるから一度連れてこい』

兄のことだから、不躾に年収やこれまでの異性との交際歴を聞きそうな気がしてヒヤリとした。

それで恋人を紹介しろと言われるたびに『そのうち』とはぐらかしてきたのだ。

今日も同じ返事をする。

【そのうち紹介する。今週末は仕事だと言ってたから無理だよ。私だけ出勤前に郵便物を取りに寄るね。もう休憩上がるからまたね】

(休憩は入ったばかりだし、卓也さんはたぶん土日休み。お兄ちゃん嘘ついてごめんね。でも見定めてやるなんて言うから紹介しにくいんだよ)

罪悪感と反発心を拮抗させつつ、目玉焼きにかぶりつく。

するとまたスマホが鳴った。

(お兄ちゃんしつこい……あ、卓也さんからだ!)

卓也のアイコンは果歩と初めてデートしたみなとみらいの夜景だ。

初デートの思い出を彼も大切にしてくれている気がして、アイコンを見るたび嬉しくなる。

< 24 / 157 >

この作品をシェア

pagetop