内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
満面の笑みでトーク画面を開いたらデートの誘いだった。

【お疲れ様。次の日曜、会える?】

彼は今、昼休憩に入ったところだそうで、返事は急がないから仕事終わりに連絡してほしいという果歩を気遣うメッセージが続いた。

デートの誘いに果歩の胸は高鳴り、すぐに返事をしたくて電話をかけた。

二回コールで出てくれた卓也に『かけ直す』と小声で言われ、しまったと後悔した。

(休憩中といっても職場のデスクでお昼ご飯を食べていたのかもしれない。職場の人が周囲にいる中で私的な電話はしにくい。電話していいか確認すればよかった)

二分ほどして卓也から電話がかかってきた。

外に出たようで、背景音に雨音が交っている。

「急に電話してごめんなさい。そこ濡れませんか?」

『ひさしの下だから大丈夫。出られない時は出ないから気にしなくていい。俺は果歩の可愛い声が聞けて嬉しいよ。疲れが吹き飛んだ』

「卓也さん……優しすぎます」

『果歩にだけだよ。部下は――いや、後輩や同僚にはそう思われていないだろう』

(部下って言った? 卓也さん、役職についているのかな)

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