内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
(お兄ちゃんの言うこと聞きなさいって、亡くなる前にお母さんが言ってくれたのに。反対を振り切ってひとり暮らしをして、結婚できない人の子供を身籠ってごめんね。でもね、赤ちゃんに会えるのが楽しみなんだ。絶対に幸せにするよ。だから安心してね)

いつもより長く手を合わせていたためか、「どうした?」とこたつテーブルから兄に声をかけられた。

「あっ、待たせてごめん。そっちに戻るね」

果歩の中に緊張が走る。

テーブルの角を挟んで兄の隣に正座した果歩は、妊娠を伝えなければと気持ちを奮い立たせる。

(ちゃんと言わなきゃ協力してもらえない。でも、すごく怒りそう)

頼りになる兄は怖い存在でもある。

「お兄ちゃん、あのね、話があるの」

「改まってどうした?」

顔をこわばらせる果歩に怪訝そうな視線が注がれた。

「実は私、妊娠していて……」

眼鏡の奥の目が大きく見開かれ、直後に眉間に深い皺が刻まれた。

「結婚の前に子供作って、なにやってるんだ!」

テーブルにドンと拳を打ちつける音がして、果歩はビクッと肩を揺らして縮こまった。

「ごめんなさい」

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