内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
「いつまで半人前のつもりなのよ。ニューヨーク事業部から戻ったら、卓也も経営陣に加わるのに。謙虚なのはいいけど、女性の前ではもう少し見栄を張りなさい。椿姫さん、押しが弱い息子でごめんなさいね。私が箱入りで育ててしまったから、女性に慣れていないのよ。卓也では物足りないかしら?」

(箱入りで育てた?)

卓也が幼少の頃から母は忙しく不在がちで、子供の世話は家政婦とベビーシッター、もう少し大きくなってからは家庭教師任せであった。

あれこれと命令だけして直接的に息子にかかわらない母に、箱入りで育てられた記憶はない。

(勝手なストーリーを作るな)

無言でコーヒーカップに口をつけた卓也に、椿姫が上品な微笑みを向ける。

「私は女性に慣れていらっしゃる男性は、どんなに地位のある方でもご遠慮します。卓也さんは誠実な方ですね。昨年、初めてお会いした時から素敵な方だと思っていました。ですから先々月、私が勤める美術館に偶然、卓也さんのお母様がいらっしゃってお声をかけていただき、嬉しく思いましたの。卓也さんにまた会える気がして」

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