内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
(卓也さんは過去の人。割り切ったはずなのに、胸が痛いのはどうして……)

つい切なげに見つめたら、彼を戸惑わせてしまった。

「そんな目で見られると、なんと言っていいのか。なにか悲しいことがあった? それとも育児疲れ? 双子は可愛いけど、大変なんだろうね」

「あっ、すみません。ちょっと過去を思い出して……なんでもないです。そうなんですよ。可愛さも大変さも二倍で、毎日この子たちに振り回されています」

果歩がフフッと笑ったら、彼がなにかに思い当たったように眉を上げた。

「そうか。どこかで見かけた気がしていたんだけど、笑顔でわかった。君、相原果歩ちゃんでしょ?」

「は、はい。どこかでお会いしました? すみません、覚えていなくて……」

書店のお客さんだろうか、もっと古い知り合いだったろうかと考えていたら、彼が笑いながら否定した。

「ごめんごめん、初対面だよ。間接的に知っていただけ。君の写真を見せられたんだ」

「え?」

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