陰黒のプシュケ
再び目覚めると…
”あああ~~”
”バリバリ…、ガシャーン‼”
仰向けで金縛り状態のまま、穂里恵は”それ”を見届けた。
そして、彼女の視界には陰黒の闇間の中…、正確にはその上方にピカッ、ピカッと何か光る光景が、おぼろげとはっきりの中間の精度(?)で立体感を伴って映し出されていた。
それは、なぜだか、どこか懐かしいような感覚も条件反射的に感じとれた。
しばし状況を見守ると、穂里恵は闇の中の決着がついたことを自然と悟る。
するとその瞬間、この場所が”さっき”までとは違う処であることも確信できたのだ。
”ここはどこ?なんか、さっきまでと違う場所だよ…”
穂里恵は直感でその結論に行きついた。
***
コトが終結する寸前、彼女は垣間見た。
そう…、違う場所に瞬間移動(?)した際、彼女はそれを見落とさなかったのだ。
邪悪な闇の中でピカッと何度か光る中、一度だけ…。
”あれって…。いつかどこかで見た…、そうだよ!こうして仰向けで寝てる時に…”
***
「あーー‼」
穂里恵が”再び”目覚めたのは、自宅のリビングと続き間となっている4畳半の和室だった。
そうであった…。
ここはあの時、夕食後…、横になって寝込んでしまった場所である。
正に悪夢から覚め、大声をあげて半身を起こすと、部屋は常夜灯のみでうす暗かった。
”えー⁉ひょっとして、今、夜中…?”
”あれ?毛布…”
上半身を起こした状態の彼女は、その両手に握られたグレーの毛布を見下ろしていた。
明らかに和室でごろ寝した自分の体へ、家族の誰かが掛けてくれたのであろうことは咄嗟に理解できた。
そうとなれば、当然その目線はリビングチェストに置かれた時計に向く。
そして、そのアナログ時計の針は午前12時40分を指していた。
”夜中まで眠っていたのか…!私…”
穂里恵は即、頭を整理した。
まずは、先ほどまでのおぞましい体験・体感は、果たして夢だったのか、はたまた、まことの現実であったのか…。
要はそこが肝であったが、実際にはもう結論は出ていた。
”あれは夢なんかじゃないよ!実際に私は、あの闇の空間にさらわれたんだ。それも、あのバリバリって音が訪れなかったら、間違いなく私はあいつらに左足を…”
ここで穂里恵は、”そうだ!”と心のなかで呟き、下半身を覆っていた毛布を勢いよくめくった。
”あった…‼私の左足、無くなっていない…。よかった…!”
穂里恵が、自らの強い思いを以って守り抜いた自分の左足が無事だった証をこの目で確認すると、その場に即立ち上がって、両足を軽く屈伸させた。
”大丈夫だよ!動く…。助かったんだー‼”
ここで彼女の両目からは涙がどっと溢れてきた。
***
「穂里恵…、起きたの?」
穂里恵が涙を手で拭いながら、もう片方の手で部屋の電気をつけると、ドライヤーを手にした母の絵里が部屋のふすまを開けていた。
「お母さん…」
「あんた、いくら起こしたって起きないんだもの…。お父さんももう眠ったわ。風邪ひくから、今日はお風呂入らないで寝なさい」
目をこすってあくびをしながらの絵里は、どうやら娘の涙に気が付かなったようだ。
穂里恵は涙に濡れた笑顔で、母の言葉に小声で「うん」とだけ返事をして頷いた。
”お母さん、今夜のことはいずれ話すね。ありがとうね…”
奇跡の我が家帰還を果たした穂里恵は、この夜はここまでとすることにした。
あの闇空間は一体何だったのか…。
なぜ私だったのか…。
それにあのバリバリって果たして…。
それらを探るのは明日以降にする…。
何しろ今日のところは、このままホンモノの我が家で眠ることにしたのだ。
”バリバリ…、ガシャーン‼”
仰向けで金縛り状態のまま、穂里恵は”それ”を見届けた。
そして、彼女の視界には陰黒の闇間の中…、正確にはその上方にピカッ、ピカッと何か光る光景が、おぼろげとはっきりの中間の精度(?)で立体感を伴って映し出されていた。
それは、なぜだか、どこか懐かしいような感覚も条件反射的に感じとれた。
しばし状況を見守ると、穂里恵は闇の中の決着がついたことを自然と悟る。
するとその瞬間、この場所が”さっき”までとは違う処であることも確信できたのだ。
”ここはどこ?なんか、さっきまでと違う場所だよ…”
穂里恵は直感でその結論に行きついた。
***
コトが終結する寸前、彼女は垣間見た。
そう…、違う場所に瞬間移動(?)した際、彼女はそれを見落とさなかったのだ。
邪悪な闇の中でピカッと何度か光る中、一度だけ…。
”あれって…。いつかどこかで見た…、そうだよ!こうして仰向けで寝てる時に…”
***
「あーー‼」
穂里恵が”再び”目覚めたのは、自宅のリビングと続き間となっている4畳半の和室だった。
そうであった…。
ここはあの時、夕食後…、横になって寝込んでしまった場所である。
正に悪夢から覚め、大声をあげて半身を起こすと、部屋は常夜灯のみでうす暗かった。
”えー⁉ひょっとして、今、夜中…?”
”あれ?毛布…”
上半身を起こした状態の彼女は、その両手に握られたグレーの毛布を見下ろしていた。
明らかに和室でごろ寝した自分の体へ、家族の誰かが掛けてくれたのであろうことは咄嗟に理解できた。
そうとなれば、当然その目線はリビングチェストに置かれた時計に向く。
そして、そのアナログ時計の針は午前12時40分を指していた。
”夜中まで眠っていたのか…!私…”
穂里恵は即、頭を整理した。
まずは、先ほどまでのおぞましい体験・体感は、果たして夢だったのか、はたまた、まことの現実であったのか…。
要はそこが肝であったが、実際にはもう結論は出ていた。
”あれは夢なんかじゃないよ!実際に私は、あの闇の空間にさらわれたんだ。それも、あのバリバリって音が訪れなかったら、間違いなく私はあいつらに左足を…”
ここで穂里恵は、”そうだ!”と心のなかで呟き、下半身を覆っていた毛布を勢いよくめくった。
”あった…‼私の左足、無くなっていない…。よかった…!”
穂里恵が、自らの強い思いを以って守り抜いた自分の左足が無事だった証をこの目で確認すると、その場に即立ち上がって、両足を軽く屈伸させた。
”大丈夫だよ!動く…。助かったんだー‼”
ここで彼女の両目からは涙がどっと溢れてきた。
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「穂里恵…、起きたの?」
穂里恵が涙を手で拭いながら、もう片方の手で部屋の電気をつけると、ドライヤーを手にした母の絵里が部屋のふすまを開けていた。
「お母さん…」
「あんた、いくら起こしたって起きないんだもの…。お父さんももう眠ったわ。風邪ひくから、今日はお風呂入らないで寝なさい」
目をこすってあくびをしながらの絵里は、どうやら娘の涙に気が付かなったようだ。
穂里恵は涙に濡れた笑顔で、母の言葉に小声で「うん」とだけ返事をして頷いた。
”お母さん、今夜のことはいずれ話すね。ありがとうね…”
奇跡の我が家帰還を果たした穂里恵は、この夜はここまでとすることにした。
あの闇空間は一体何だったのか…。
なぜ私だったのか…。
それにあのバリバリって果たして…。
それらを探るのは明日以降にする…。
何しろ今日のところは、このままホンモノの我が家で眠ることにしたのだ。