陰黒のプシュケ
屈折の徒は狂気を笑顔で呑みこんだ
その年の初め…、小雪が舞う中、例の4人は約半日をかけ、”現地視察”を敢行した。
そして夕方6時には予約していた民宿の部屋で、具体的な決行プランの打ち合わせに入っていた。
長方形のテーブルを4人は向きあって囲み、その計画は小声で協議された。
本”この指とまれ”の決起人でありリーダー格の浦田ノブトからひと通りの決行ディテールを説明されると、高城ユキノは明らかに顔を赤らめ、興奮した口調で絶賛した。
「素晴らしいわ!この4人は自らの昇天限界を突破して、その帰結を得て永劫に連結・連帯できるのね…!私たちで4人で、最強の団塊を目指しましょう。できるわ!我々は腐ったこの世に必要とされるドラスティックな再生現象を産み落とす発力体として、陰沼の四辺井戸からよみがえるのよ!!」
「うん!この陰沼を形成したあの周辺は、本州西南端の大地を創造した地下何万キロという神部からの臨界エネルギーによって地上の世界とリンクさせる源泉なんだ。ここで、オレたちが肉体の一部を引き裂き、世上での苦痛を昇華させる。このことイコール、精神からの肉体分断となる。あくまで肉体分離ではないんだ。強固な人間の意志によって、俗世に汚染されたこの世の肉体を一旦置き去る…。それには…、阿鼻叫喚の激痛を伴う…。これは絶体に避けられない。無論、自分一人ではその試練へ立ち向かう勇気は全くない。でも…」
ここでノブトは漲りを帯びた言葉に詰まり、一息ついた。
***
「…」(3人は無言でうなずく)
「浦田さん、続けて‼」
数十秒して…、その沈黙を破ったのはやはり高城ユキノであった。
「…うん。オレは”リバイアサンズ”と命名したこのスレッドから君たち3人に巡り合えたこと、この4人に淘汰できたことは運命を自らの意志で導いた奇跡だと思っている。他の人間では逆立ちしても超え得ない壁…、死と全否定と一擲…、これを決意しきれるには君たち以外はあり得なかったんだ、所詮…。なので、オレはこの4人が本当に最終的局面で繋がれれば、”再生”してこの腐った世界に一陣の清風を送り続ける決起計画を完遂できる手応えを感じずにはいられない。でも、みんなにその為の無理強いはできない。…慎重に結論を出して欲しい」
ノブトのこの時の口調は、珍しくやや弱々しかった。
「私はあなたとやり遂げるわ!二人でもやりましょう‼」
対するユキノのリアクションは、鮮烈なものだった。
一気に号泣し、左隣に座っていたノブトに勢いよく抱き着いて、この言はすでに絶叫の域だった。
「ああ、二人でもオレはやるよ、高城さん…」
ノブトはやや笑みをこぼし、ユキノの肩を優しく抱き返していた。
さて…、ここで残りの二人となる…。
そして夕方6時には予約していた民宿の部屋で、具体的な決行プランの打ち合わせに入っていた。
長方形のテーブルを4人は向きあって囲み、その計画は小声で協議された。
本”この指とまれ”の決起人でありリーダー格の浦田ノブトからひと通りの決行ディテールを説明されると、高城ユキノは明らかに顔を赤らめ、興奮した口調で絶賛した。
「素晴らしいわ!この4人は自らの昇天限界を突破して、その帰結を得て永劫に連結・連帯できるのね…!私たちで4人で、最強の団塊を目指しましょう。できるわ!我々は腐ったこの世に必要とされるドラスティックな再生現象を産み落とす発力体として、陰沼の四辺井戸からよみがえるのよ!!」
「うん!この陰沼を形成したあの周辺は、本州西南端の大地を創造した地下何万キロという神部からの臨界エネルギーによって地上の世界とリンクさせる源泉なんだ。ここで、オレたちが肉体の一部を引き裂き、世上での苦痛を昇華させる。このことイコール、精神からの肉体分断となる。あくまで肉体分離ではないんだ。強固な人間の意志によって、俗世に汚染されたこの世の肉体を一旦置き去る…。それには…、阿鼻叫喚の激痛を伴う…。これは絶体に避けられない。無論、自分一人ではその試練へ立ち向かう勇気は全くない。でも…」
ここでノブトは漲りを帯びた言葉に詰まり、一息ついた。
***
「…」(3人は無言でうなずく)
「浦田さん、続けて‼」
数十秒して…、その沈黙を破ったのはやはり高城ユキノであった。
「…うん。オレは”リバイアサンズ”と命名したこのスレッドから君たち3人に巡り合えたこと、この4人に淘汰できたことは運命を自らの意志で導いた奇跡だと思っている。他の人間では逆立ちしても超え得ない壁…、死と全否定と一擲…、これを決意しきれるには君たち以外はあり得なかったんだ、所詮…。なので、オレはこの4人が本当に最終的局面で繋がれれば、”再生”してこの腐った世界に一陣の清風を送り続ける決起計画を完遂できる手応えを感じずにはいられない。でも、みんなにその為の無理強いはできない。…慎重に結論を出して欲しい」
ノブトのこの時の口調は、珍しくやや弱々しかった。
「私はあなたとやり遂げるわ!二人でもやりましょう‼」
対するユキノのリアクションは、鮮烈なものだった。
一気に号泣し、左隣に座っていたノブトに勢いよく抱き着いて、この言はすでに絶叫の域だった。
「ああ、二人でもオレはやるよ、高城さん…」
ノブトはやや笑みをこぼし、ユキノの肩を優しく抱き返していた。
さて…、ここで残りの二人となる…。